退屈だったら

退屈だったら漫画を読めばいい。
退屈だったら音楽を聴けばいい。
退屈だったら本を読めばいい。
退屈だったら散歩すればいい。
退屈だったら誰かに会いに行けばいい。


退屈、退屈、退屈の連続は、
心がどんどん鈍感になってゆく。
痛みも、苦しみも、悲しみも、無くなってゆく。
世界はプラスチックのような感触で、
言葉はどんどん遠くなり、
誰の声も届かなくなる。


誰のせいでもなく、
自分自身がそうしている。
自分自身がそれを選んでいる。


日々は時間が流れるだけで、
これといった変化もない。


そのうち兄弟に子供が産まれるだろう。
そのうち親はボケて死ぬだろう。


大きな地震もやってくるかもしれない。
戦争だって起きちゃうかもしれない。


たくさんの人が死ぬだろう。
痛い辛い助けてと叫ぶだろう。
その声がたくさん聴こえるだろう。


私はそのときただそれを眺めて
聴いているだけだろう。
物事は通過する。
体の中を通過する。
すこしの熱と痛みを残して。
でもいずれ綺麗に、
何も無かったかのように消え去るだろう。