自分から手を伸ばした。
誰かに触れようとした。
それが正しいのかどうかわからない。
けれどそういうものがあるということは
幸せなことなのかもしれない。
人と生きていくということは
時々おそろしく不安に感じることもあるけれど、
私は私の時間を生きていて、
たとえ周りに誰もいなくなっても、
私は私の時間を生き続けるのだろうとおもい、
それは、切なくもあり、
安心出来ることでもあると思った。
ひどく何も出来ない自分に
時々苛立ちを覚えるけれど、
それでも私は私でしかなく、
世界は廻り続けている。
ふと
「私はどこへ行きたいのか」
と思う。
白昼夢にも似た、
曖昧なこの世界のありように、
私は幼い子供のように立ち尽くす。
黙ってその場を去る。
そんなことしか出来ていないのかもしれない。
子供のようにわんわんと泣き出すことができたら
どんなによいだろう。
ただドキドキすることを追いかける
子供であることができたらどんなに気楽だろう。
こんな風に言葉を吐き出すと、
思いもよらない何かが
ぞろぞろと
出て来る。
世界は組み立てられるようで、
組み立てることは出来ない。
そんな横柄なことが私はどうしてもできない。
現実は流れてゆく川で、
いつだって人間はそれを眺めることしかできないのだ。