涙のひみつ

涙はときどき突然あふれる。
それは人の行動や言葉のその奥にある、
美しさみたいなものに触れたとき。
悲しいとか嬉しいとかでは
すまされない何かを知ったとき。
人が生きていて、
そして出会うことの凄み、
みたいなものに触れたとき。
いつもは覆い隠されている
世界の秘密が突然露出して、
とんでもなく美しい世界を感受したとき。
涙はあふれてくる。


人生はどんどん流れていく。
コントロールなんかできない。
次から次へと物事は降ってくる。


この人生であと何回ぐらい、
世界の秘密に触れることができるだろう。
世界の秘密はご褒美みたいなものだ。
そしてたったひとりで感受するものだ。
こんなにも美味しいものはない。
生きてゆける。
生きてゆこうと思う。
世界の秘密はそういうものでできている。