置いてけぼりをくらう僕

素晴らしい世界を持って産まれ、
この世に愛を振りまく君。
君はいつも気高く美しく一瞬もぶれることなく、
そこに佇み、僕はいつも君を眩しくながめ、
いつまでも憧れている。
僕も君みたいにいつかどこかに行けると信じていたけど、
結局どこにも行けず、
同じ場所でうろうろし続けているだけのようで、
世界はいつも同じ表情しかみせず、
かったるく、僕の両肩に重くのしかかる。
だって僕はこれといって、
得意なこともないし、
日常の雑多な事を片付けるのに精一杯だし、
職場の人間関係にも気を使っているし、
家族との調和も気にかけて、
恋人の約束も破らないように注意深くしている。
そのことだけで疲れて果てて1日が終わってしまう。
僕がそんなことでモタモタしているうちに、
世界はどんどん進んでいて、
もちろん君も変化していて、
その一瞬一瞬を思い切り楽しんでるようで、
でも僕は何も変っていなくて、
きっといつか君と話すことも無くなってしまうだろう。
いや、もうすでに君と話すことなんて何もないのかもしれない。
そんなことに気付いて、
僕は急にとても寂しくなり、
久しぶりの休みだというのに、
ぼんやりと部屋で過ごすだけになりそうだ。
これから僕の世界と、君の世界はどうなっちゃうんだろう。
君はいつか言っていた。
「これから楽しい事がたくさん待ってる」って。
実は僕はいまだに、君のその何気ない言葉を時々思い出して、
こっそりと信じて、
なんとかこの頼りない日々を無事にやり過ごしているんだよ。