常世の春

①抜群においしいシュークリームを食べる。
おいしすぎて気が遠くなった。
「死ぬときはこのシュークリームを口に入れたまま死にたい」
と、バイト仲間におもわず漏らしたら、
「じゃあ死にそうになったら横に置いとくわ」
と、言ってくれて、
なんか死ぬのがそんなに嫌じゃなくなってよかった。
②人は変り映えのしない日々を送ると、
ストレスを感じるらしい。
なので時々非日常体験が必要なんだそうで、
ああ、だから人は混んでるとわかってても週末になると
出掛けるんだなぁ、と思ったのだけど、
混んでるところに出掛けたら余計ストレスになったり
しないかなーと思ったりしたけれど、
まぁ、みんなそれなりに楽しんでいるらしい。
変り映えのない日々をいかに変り映えがあるように、
見せかけるかが上手く生きるコツのひとつだろう。
③春になると嫌な夢を見たり、鬱っぽくなったりする、
という意見をたまに聞くのだけど、
私はちっともそういうのはなくて、
すごく気分が良くて、テンションが上がるし、
むくむくと自然とエネルギー湧いてきて、
騒がないと損みたいな気持ちになってくる。
今の季節、山なんかに行ったらテンション上がりすぎて、
鼻血がでるかもしれない。
気をつけよう。
④「いつも絶好調ぽいよね」
と言われたのだけど、
「絶好調のふりが上手いだけだよ」
って答えてみた。
しかし、これ本当である。
特に状態が好転したという決定的なこともないし、
喜ばしいことがあったとしても、
その裏返しには悩みが増えたりで、
やはり絶好調とは言い難い。
でも、そんなに人生のマイナス面ばかりに
目をむけて生きるのももう飽きたので、
バランスよく、自分を騙し騙し、
周囲も騙し騙し生きてるだけだ。
つまらないより楽しいがいい。
常にその二者択一問題で、
意地でも楽しいを選び取り続ける覚悟があるかないか、
の違いだと思う。
⑤「蟹が泡を吹くようなものだ」
という言葉をお父さんがさらりと会話のなかに
普通に入れてきたので驚いた。
初めて聞いたので、「なにそれ!?」
と突っ込んでしまったのだけど、
どうやら、何の意味も無い事、みたいな意味らしいのだけど、
そんな例えかわいすぎて力が抜ける。
お父さん曰く昔からあることわざみたいなもの
って言っていたのだけど、
ほんとかどうかは定かではない。
ちなみに、お父さんがことあるごとに口にすることわざは、
「他人の不幸は蜜の味」で、
その言葉を聞くたびに、
そういう年寄りだけにはなりたくないと、
いつも胸に誓っている。
ちなみに、なぜ蟹は泡を吹くかというと、
ストレスらしい。