「声」2

暗闇の中で横たえなさい。
闇はけしておそろしいものではありません。
あなたが今必要なことは、
そのことに早く気付くことです。
闇の中をさまよい歩き、
徹底的に孤独の深海を歩き、
出会うものは深海の奇形魚のような生き物ばかりだとしても、
彼らはとても親切にあなたに挨拶をしてくれます。
彼らは友達です。
深海で暗闇でしか生きることのできない生き物です。
この世はそれぐらいに多様性に溢れ、愛に満ちています。
世界は色んな顔を持つのです。


あなたは闇の中であっても、
一筋の光に照らされていることでしょう。
その光は深海魚の生き物たちにとっては、
おそろしいものなので、なるべく光を感じ取られないように、
注意を払わなくてはいけません。
光はあなたを自動的にどこかへ向わせています。
あなたの目に映るものが、
闇ばかりだとしても、
あなたは確実に光に照らされている。
そのことを忘れないでください。


あなたが暗闇の中で見る光を、
欲しがる連中がいます。
彼らもその光が欲しいのです。
彼らが欲しいものはあなたではありません。
その光です。
光があればこの世に強く生きていられるので、
どうしても欲しいのです。
あなたは優しいのですぐあげようとするでしょう。
しかし、彼らは光を受け取っても、
イマイチよくわかっていません。
そして、根こそぎ光りを奪い、
あなたを闇の底に突き落とすのです。
それは誰にも気付かれないように、じつに巧妙に実行されます。
闇の中で必死に、たったひとつの光を頼りに生きていたのに、
底に突き落とされたあなたは本当になにも見えなくなりました。
本当に孤独になったのです。
それでも、あなたが再び光を求めれば、
光はあなたを照らします。
あなたと光は切っても切れない関係なのです。
より濃密な闇が漂う、闇の底で、
あなたは光を浴びています。
あなたはもう光しかみてはいけないのだと、
心に強く誓うのです。
ハイエナのように、光を求め続ける人間の相手をしている暇はありません。
あなたはただ光を見つめるべきなのです。


あなたは光るこども。
闇の底で光るこども。
その光は闇の底でよりいっそう強い輝きを放つのです。