imagination

「世の中どんだけ不況になろうが、戦争が起きようが、我関せずの姿勢を貫き、
全く違う世界を夢見続け、創作し続ける人間は、変人扱いされ、
罵倒もされるかもしれないけれど、この世で最も平和的な存在である事を忘れてはならない。」


私たちがこの世のありとあらゆることに煩うとき、
病みは始まる。
病みを抱えない人間はいない。
病みと闇を抱えて、
私たちは世界をゆく。
脳みその中にありとあらゆる情報を受信し、
そしてその情報は無作法に脳内を占拠し、
分裂症気味の症状が発露し、
気が狂いそうになり、
極限状態までの病みと闇に落ちたとき、
やがて全くの闇と無音の世界が来る。
次の瞬間に、
「あっ」
というほんとうに小さな砂粒みたいな気付きが、
ひと粒だけ降ってきて、
水面に落ちたかと思うと、
世界は一転して、真っ白な光に満たされる。


そういう世界を行ったり来たりして、
精神をすり減らし、摩耗し、
また豊かになったり、膨らんだりして、
自由に、本当に自由に暮らしている。
我々は選ぶ。
我々自身で未来を選ぶ。
我々自身は我々自身であって、
それ以上でもそれ以下でもない。
生も死も全部両手に持って、
この世界を渡ろう。
みな平等に生と死を持っている。
全ての言葉はあやである。
そこにあるようで無い、実態の不確かなものである。
その実態の不確かなもので、
我々は傷ついたり、また力を得たりしている。
音楽もそうである。
実体のない不確かなものに左右され、
己を感覚だけを頼りに、
儚く生きる一個の生命体。
一個の生命体が、何億何兆とここにあり、
そしてそれらが実は、
ひとつ残らず繋がっていて、
我々は些細な事で繊細に影響を与えあって、
暮らしている。
ここにあるこの生命体がのたまう、
言葉や感情を放出する方法を求めている。
エネルギーはひとつの場所に集まり、
その発露を待っている。
このもやもやを、この未完成の感情を、
誰かはやくはやくはやく、
そんな風にして作品は創られ、
その作品に吸い寄せられ我々は共有している。


昨晩THA BLUE HERB を観た。
最前列でひとりの男の魂の発露を観た。
言葉が彼の体を通じて自動的に出ているようだった。
本物のパフォーマンスだった。
全ての創造にリスペクトを表明し、
日本のアンダーグラウンドを支え続ける男。
北海道から日本全国を廻り、
一貫した本物の仕事をこなし続ける男。
素晴らしく美しかった。