こんがらがった世界

こんがらがった世界で、
がんじがらめになって、
ひとりで、
「うむむ」
なんて言って、
むずかしいことで頭いっぱいにしていた私を、
単純にしてくれた、
あの人は、わたしにとって、
とても大切な人。
見えないロープで、
ぐるぐる巻きになって、
息をするのもやっとで、
そして、そんな状況にさえ気付かなくて、
それが当たり前だと思っていた私の、
病みの極地を救ってくれたあの人は、
わたしにとって、
とても大切な人。
本当に、「するん」、て、
ロープが消えたのよ。
不思議ね。
あの人はただ普通にしていただけだというのにね。
でも、その人の当たり前が、
他の人にとって、
どれだけ助けになるかは、
未知数で、それがこの世界のおもしろいところね。
狙って人を助けよう、なんてのは、
ほとんど効果がないのかもね。
偶然に似た必然の中でしか、
人は救われないし、
大切なものも受け取れないのかもね。
しかも、それは一瞬のことで、
それを逃すともう2度とこない。
そういうものなのかもね。
私は気付けた、と言いたいところだけど、
本当はもっと深くて美しい世界があるのかもしれないのに、
わたしが拾い切れていないかもしれない。
私が鈍くて、ガサツな、感覚しか持っていないばかりに、
まだまだ美しくて繊細な模様がそこにあったのかもしれない。
そんな風なことを思う度に、
この世の美はどこまで遠くて深いの、
と思うの。
ただ、私は私が受け取れる限界に挑むだけ。
ただ、それだけのことなのよ。