神の眼

最近すごく嫌な奴になって来たのがわかって落ち込む。
目つきも心なしか鋭い。
引っ張られる。
嫌なほうに。
止まらない。
踏ん張れない。
一体なにに問題があるんだろう。
昔はもっといい奴だった気がする。
たぶん何かが食い違っていて、
何かが間違っているんだと思う。
もしくは、何の問題もないのかもしれない。
ドロドロした得体のしれない真っ黒い塊が、
むくむくと内側から湧いて出てくる。
気持ち悪い。
人って一体どんな仕組みなんだろう。
一人になりたい気持ちと、
一人は嫌な気持ちがぐるぐると渦を巻いていて、
でも、ほんとは一人だとか一人じゃないとか、
そんなことはどうでもいいのであって、
そんなどうでもいい事で、
いつもドキドキしたり、ひやりとしていて、
もうそろそろなんとかしたい。
何がこんなに辛くて、
何にこんなにワクワクしているのか。
自分でもよくわからないけれど、
やはり、もう一歩先の眼差しが必要なのだろう。
「もうだいじょうぶ」
と、思うのも束の間、落下する。
誰とも比べないことの重要さ。
何もかもが中途半端で、
何もかもが未解決のまま世界は進行する。
いや、なにも進んでいないのかもしれない。
時間は止まったままだ。
意味不明のことを、
意味不明のまま吐き出して、
内なる混乱を表していく作業だけが救いだ。
誰にも救えないなら、
自分で救うしかない。
忘れてしまおう。
なにもかも。
哀しかったことも、楽しかったことも、
嬉しかったことも、辛かったことも、
全て忘れてしまって、それでも、
私は私のままなのだろうか。
今度、あの人と会ったときうまく笑えるだろうか。
それだけが心配。
この世に許せないことは何ひとつないはずなのに、
心が頑なにこだわって、許そうとしないことから、
あと何年したら開放されるんだろう。
私が私であるという、
どうしようもないほど、不確かで確かなことに、
涙が出るぐらい、笑えるし、泣ける。
きっと、もうだれも思い出す事はないだろう。
私のことも、君の事も。
そうやって、また世界がひとつ消えていく。
当たり障りのないことを毎日話し合って、
妄想を共有して、自分や他人を心から理解した
つもりになって、私達は時間を潰していく。
心が揺れる。
安定するなんてこと私の人生に一生おこりそうもない。
神様はいじわるだ。非情だ。
散々苦しめておいて、もう駄目だって、
目の前が真っ暗になったとたんに、
一筋の光をあたえる。
もしくは、そのまま。
何の変化も与えずに暗闇の状態を生きさせる。
全部、気まぐれ。
ああ、世界はこんなにも不感症だ。