スペシャルであること

高山なおみ
『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ』
をぺろりと読み終える。
彼女の本は私が大学卒業したて、
つまり23歳ぐらいの頃、友人から、
「この人好きだと思うよ」
と、誕生日プレゼントにもらったのが出会い。
すぐにハマって、何冊か自分で本を買って、
彼女の空気を自分の血にしようと読み込んだものだ。
この本の存在は前から知っていたけど、
読んだことがなくて、今日たまたま目に入ったので、
これもタイミングかなと思って借りてみた。
料理家でエッセイストで、
料理も文章も素晴らしい感覚で紡ぎ出す彼女。
その素晴らしさの源泉のようなもの、
才能の開花の夜明け前を知ることのできる一冊。
解説は原田郁子で、
子供みたいな、彼女らしい、
くすぐったい文章が生き生きと飛び跳ねている。
彼女達はよく似ている。
目指すもの、というか、この世に表したい世界みたいなものが、
似ているんだろうと思う。
そして彼女達に大いに影響を与えている、
フィッシュマンズの佐藤伸冶の偉大さについて考える。
だって、こんな田舎の雑貨屋の女の子までもが、
フィッシュマンズの音楽を聴いて、
この世界にすっかり安心しきって、
アクセサリーや服を作っているこの事実。
それから、グレン・グールド
何かを創ろうとするときの姿勢、ひたむきさのようなものに、
人は何かを感じ取り、じんわりと何かが染みこんで来るのだろう。
中でもぐっときた文章を抜粋。
“私の体の中には種のようなものがあって、
自分ひとりの力では芽を出すことが出来ないでいるけれど、
本を読んだり映画を見たり、音楽を聴いたりして感動すると
小さな芽が出てくる。
それがたび重なって少しずつ成長してゆき、
茎も太くなり、しまいには堂々とした
太い木になってくれればいいなと思う。
今なら私はちゃんとわかる。
誰が何と言っても、自分にはかけがえのないものなのだからそれでいい。
自分だけにしかわからない特別なことを、
ひとつひとつ味わってゆけば、それで充分なのだと、
今は強く思える。”
最後に私がフィッシュマンズの中で大好きなこの2曲。
『いかれたbaby』

UAの『頼りない天使』