アイデンティティ・ゲーム

上野千鶴子氏の『女という快楽』を、
少しだけ読んだところなのだけど、
これが、まぁ、おもしろい。
なるほどな文章が盛りだくさん。
でも、こういう本ばっかり読んで、
色々わかっちゃった気になってるのは、
危険だなぁ、とも思うので、
お遊び程度に程ほどが一番なのだろう。
しかし、やはり私は今一番知りたい事を知る才能があるなぁ、
とは思う。
この文章など完璧。
『恋愛は、いつでもクライシスである。
幸せな二人が恋に堕ちることはない。
ただ危険にある固体同士が、補完的な他者を呼び寄せる。』
など、まさに目から鱗。なるほど納得なのである。
吉本隆明氏が、『言語芸術論』なるものを、
前に説いていたのだけども、
結局のところ、言葉が人間にもたらすものって、
一体なんなのだろうと思うのだ。
一種の真理なのか、理解なのか、ひとつの風景なのか。
それを見て、体感して、我々はどこへ向かうのか。
世界の一片を知る事は、
安らぎであり、慰めであり、成長であり、
心の深みになり、豊かさに繋がる。
より深く、より豊かに、柔軟に、
縦横無尽に言葉で世界を日々旅行したい。
ただそれだけなのかもしれない。