彼は女の子だったら誰でもいいんじゃないかしらきっと

車で家に帰る途中、
空に真っ黒くてどんよりした雲がたちこめていて
今にも何もかもを飲み込んでしまいそうな迫力で
空を独り占めしていたので、
何か不吉な事でも起こるのではないかと、
どことなく不安になってしまうほどだった。
外は寒いし、雨も今にも降ってきそうだ。
そんな日の夕方はまっすぐに家に帰るのが一番だ。
家に帰って、暖かい暖炉の前で、
トマトベースの野菜がたっぷり入ったスープと、
焼きたてのざっくりとした食感の固めのパン、
ついでにホットミルクもマグカップに注いで一緒に食べれば、
不安もどこかに消える。
それでも、どこか落ち着かない時は、
暖炉の前でいつも揺り椅子に座りながら編みものをしている
おばあさんにこうたずねるといい。
「ねぇ、おばあさん、遠い昔の話をしてほしいの。
そうね、おばあさんがうんと小さかった頃の話し。」
そしたら、おばあさんは、遠い昔の記憶を辿って、
美しい景色や思い出の出来事を少しずつ思い出し、
ぽつりぽつりとゆっくり優しい声で静かに語りだす。
君はおばあさんと一緒に記憶の旅に出掛けるだろう。
それは夢をみているように、甘く暖かな旅となり、
きっと君の不安をきれいに消してくれる。
おばあさんにきちんとお礼を言って、
自分のベッドに潜りこめば、すぐに眠りに落ち、
おばあさんの話しの続きを夢で見るだろう。
そして、君はあたたかなまま、無事に1日を終える事ができる。
という妄想が突如湧き起こったので書いてみたら、
なんかすごいいい気持ちになった。
ちなみに、現実は、家に帰ると、
居間は蛍光灯の白い灯りでいつも妙に明るく寒々としていて、
大型テレビでは毎日起こる殺人事件や、
政治の金の問題ばかりを、いつも通り飽きる事なく垂れ流していて、
エアコンの暖房モードで部屋はやっぱり乾燥しているし、
ご飯も適当に納豆と漬物などで済ませたんだけども。
さて、ポーの一族でも読もうっと。

ポーの一族 (1) (小学館文庫)

ポーの一族 (1) (小学館文庫)