メメントモリ

ちょっと死の匂いがするこの頃。
生き物は実にごく簡単に唐突に死んでしまうのだろう
というような事を、ふつふつと考える。
小さい頃、風の強い日に庭に落ちてた
死にかけのスズメを拾って家の中でなんとか
エサを与えようとしたけど、
結局すぐに死んでしまった。
死んだスズメがほんとうにただの抜け殻になってしまって、
軽くなったあの感触が忘れられない。
死ぬってなんだろう。
命が無くなるってどういうことだろう。
いつかお母さんもお父さんもこんな風に
私の目の前から消えてゆくんだろうし、
私もどこかになくなってしまう。
それは怖いことの以前になにか奇妙なことだった。
そしてその奇妙なことを奇妙がらずに
淡々とこの世で生きている全ての人がさらに奇妙だった。
この世は不思議な事だらけで、
神秘の扉はいつもすぐ側にあったし、
今でもいつでもその扉はぽっかりと開いている。