スーツと蟹

人と人が繋がって、
新しいネットワークが自然と広がっていく感じは、
悪くないと思った。
出会いっておもしろい。
暴力や束縛する男性について、
もやもやと思っていたのだけど、
やはりあれは完全に単なる弱さであり、
自信のなさの表れなんだと思う。
好きな女を自分のもとに引き止めておく魅力が、
自分には不足していることを、なんとなく察知しているので、
いずれ女に去られるのではないかと
いつも不安で不安で仕方がないのだ。
だから、暴力という形で服従させようとする。
自分のことしか考えさせないようにする。
そういう人は相手のことなんて考えていない。
自分のことで常にいっぱいいっぱいなのだ。
女の優しさにつけこんで、
自分は被害者を演じ、相手を加害者意識にさせる。
一体どこで覚えるのか、それとも自然とやってしまうのか、
そういうズルいやり方しかしない。
もはやそこにはコミュニケーションは存在しない。
一方的で幼稚でエゴイスティックな独壇場だ。
しかし関係が深くなればなるほど、
離れられなくなる。
ドロ沼にはまり込むようにどんどん沈んでゆく。
一体なにが彼らをそうさせているのか。
そこから人は何を掴み、何を反省し、何を理解し、
生きている間にどういう結論を導き出すのか、
それは、本人同士にしかわからない。
とにかく、お互いが本気でぶつかりあっていると感じて、
感動を共有し、孤独を感じることがなければ、
例え血が流れようとも、命がひとつ失われようとも、
それでいいんではないか、と思ってもいい世界も
あっていいような気もしたりする。
だって、何が幸せで、何が不幸せかなんて、
他人が判断することではない。
本人が心の底から感じることだ。