プリオシン海岸

 (どうして僕はこんなにかなしいのだろう。
  僕はこころもちをきれいに大きくもたなければいけない。
  あすこの岸のもっとずうっと向こうにまるでけむりのような
  小さな青い火が見える。
  あれはほんとうにしずかでつめたい。
  僕はあれをよくみてこころもちをしずめるんだ。)
 
 (ああほんとうにどこまでもどこまでも僕といっしょに行くひとは
  ないだろうか。カムパネルラだってあんな女の子とおもしろそうに
  はなしているし僕はほんとうにつらいなぁ。)
 
 (こんなしずかでいいところで僕はどうしてもっと愉快に
  なれないんだろう。どうしてこんなにひとりさびしいのだろう。
  けれどもカムパネルラなんかあんまりひどい、僕といっしょ
  汽車に乗っていながらまるであんな女の子とばかり話して
  いるんだもの。僕はほんとうにつらい。)
 
人が自分のやるべきことを一所懸命やっているというだけで、
安心して他の事は何も考えずに自分は自分のやるべきことをやれる。
というのはあると思う。