入道雲

もくもくと空一面に広がっている入道雲を眺めていると、
なんとも言えない気持ちがこみ上げてくる。
蝉の鳴き声も聴こえてくる。
夏である。
全国のちびっこ達は太陽の光を浴びて、
海や川でわいわいはしゃいでいる頃だろう。
 
細野晴臣氏の記事を読む。
創作活動について、
 
「思い出せない夢をなんとか思い出そうとする作業に似ている。
郷愁が僕の力の源泉だよ。」
 
と語っており、なんとなくじんわりと染みる。
もっとシンプルでいいんだと思った。
この世界に対する原初的な不安であるとか、
産まれてきたことの不思議とか。
そういった、もっとシンプルで、
でもみんなが普段見逃していて、奥においやっていることを、
引っ張り出してきて、表に出してゆきたいという気持ちが、
むくむくと湧いてくる。
 
人はそれぞれが単純に景色を持って産まれてくるのであって、
その匂いに誘われて、どこかに流れて何かに出会って謎を解く。
そのままでいい。
そのままの景色を出してゆけば、
きっと何かが自然と集まってくる。
自分だけだと思って押し込めて隠しているそれが、
本当はとても必要なものかもしれない。
 
そんなことを思う。