そばにいたいよ

猫という生き物は、人間よりも、
“きもちがいい”を感知する能力に長けているのかも知れない。
  
外に行くとりんりんと首輪の鈴を鳴らしながらどこからともなくやってくる。
そしてまず最初に「ニャー」と軽く挨拶。
足の周りをぐるぐるして、スリスリしてから、
どこにも行かせないようにごろんと横になる。
その行為で人間という生き物はすでにメロメロになる。
「こいつめ」としゃがんで思い切り撫でたくなる衝動に駆られる。
そこをぐっと堪えてながめていると、
猫は触られなくても目を細めて気持ち良さそうにしている。
うっとりと悦に入っているのだ。
「はて、この子は一体なにがそんなに気持ちがよいのだろう」
と考えたところ、たぶん、人間のそばに居るだけで気持ちがいいことを知っているのだ。
なにかいいエネルギーを受け取っているように感じる。
健やかに生きていくためのエネルギーみたいなもの。
ご飯だけでは足りないなにか。
触ったらより気持ちがいいことは知っているけど、
触らなくても別に気持ちがいいのだ。
そしてその猫のエネルギーを受け取って私もいい気持ちになる。
魅力的な子はだいたい気持ちがいいことに敏感だ。
人も猫も。
 
それは、いい音楽とか文章とか絵にも通づるものだ。
なにかが込められている。
それはその人の一部分、エキスみたいなもの。
そういうものが世の中にはたくさんバラまかれていて、
いろんな人の中を通過していく。
そして世界はキラキラしていく。強くなる。
信じるってどういうことか、私は今までちゃんと解ってなかったみたいだ。
いや、今でも怪しいところだ。
でも、信じる力が世界を作り上げていることを私は知っている。
何を信じよう。
まずは自分をしっかりと信じることから始めてみようか。