pokonyan to nakamatati

「もしかして音楽とかされてるんですか?」
 
そんな質問される場面が私の人生には多々ある。
その度に全力で否定する。
 
「いやいやいや、私はなにもできないんです。聴くばっかりです。」
 
相手は、ふーん、となにやら不思議そうな顔でこちらの顔を伺っている。
なにやら得体の知れない、つかみどころのない感触。 
私は度々、他人にそんな風な印象を与えることがある。
 
音楽のひとつもできていれば、
もっとうまく他人と関わっていけるかも知れないけれど、
私は音楽はできない。
絵だって描けない。
ただ音楽とか絵が好きで、人よりも物事を深く考えようとする、
ごく普通の、そこいらにいる、ただの女子だ。
世界の曖昧な境目を漂うことで、そこに居場所を感じて、
曖昧なまま生きているだけである。
 
都会には色々な人が居るのいいと思う。
色々な人と関わって、色々な人に影響を与えたり、与えられたりする。
その繰り返しだ。
 
東京は遊園地のようだと思う。
したがって定期的に遊びにいく場所であって、
住む場所ではない。
そんなところ。
 
東京は外から眺めているのがいいと思う。
そしておいしいところだけ味わえるといい。
いい音楽や、いい展示、そんなのを吟味して大切に味わいに行く場所。
そんな風な関わり方が私にとっては一番合っているのかもしれない。
 
この世にお金がなくて、自由に行きたいところに行けて、
見たいものが見れるようになったら、いいなー、と
そんなことを思った。
 
そんな世界どこかにあるんだろうか?
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