どん底

ひさびさに落ちに落ち、
もう二度と這い上がる事ができないような気がして、死ぬほど怖かった。
でも、境界性人格障害の本を読むと、
これは正しい心の動きのようだ。
そんな風にしてこれまでの自分を殺していかなくてはいけないらしい。
これは正しい方向に進む為に必要な儀式なのだ。
しかしこんな生き地獄を、
人生に何度も経験しなくてはいけないなんて、
本当に嫌な障害だとおもう。


死と再生。


自分が思っている以上に、私の心は勝手に傷つく。
繊細でデリケートで本当に嫌だ。
しかもそのわりに、他人には無神経だったりするから卑怯だ。
きっかけは本当にちょっとしたつまずきで、
「うん、まぁ、たいしたことはないね」と余裕ぶっていると、
気がつかないうちに間にどんどん傷口が広がって症状はみるみるうちに悪化する。


本当の癒しは、どうしようもなく痛くて苦しいものだと、
誰かが言っていた気がする。


なにかと関わって、自分の人生に組み込んでいって、
自分自身の物語にするのが人生だ。
それにはまず自分が自分の事をきちんと認めておく大きな地盤が必要なのだ。
この障害の人間はまず自分を認めていない。
認めているふりをしているだけで、
意識の底の底の方では思いっきり否定している。
それによって、なにかうまくいかなかった時に、
否定していた感情が表に思いっきり噴出する。
自分が想像していたよりも、なんだかものすごい大打撃になっているし、
これは自分でも驚くほどなのだ。
でも、この作業を繰り返して、自分の無意識と意識の間ぐらいまで、
降りていって、自分で原因を解明し、認知しないと回復しない。
激しい浮き沈みを繰り返して、私は少しずつ私に成っていく。


時間は癒しだ。
全てを元の場所に戻してくれる。
そして最後はちゃんとこの世にお別れして、
もともと居た場所に帰っていくのだ。
もしかしたら、人生は大きな帰路なのかもしれない。