自己治癒力

この頃、一時の世界の暗黒ぶりに比べて随分明るくなってきた。
あの暗黒はなんだったんだろう。
あの暗黒は消え去った訳ではなく、
いつも私の中に潜んでいるものなのだけど、
あそこまで表に出てきたのは初めてだった。
きっといつも押さえ込んでいる世界なのだと思う。
ちょっとした心のつまづきで溢れ出て、
収拾がつかないぐらいに吞み込まれる。
でもそこからまた自力で回復しようとする力が産まれる。
その力をとても実感した。


きっと精神的に津波が襲っていたのだろう。
真っ黒い波。恐怖。逃げようとしても無駄でそれはいとも簡単に私を吞み込む。
なにもなくなる。
今まで培ってきた知識、好きな本、音楽、全てが無効になる。フリーズ状態。
私はその時、その世界を全身で受け止める為に生きていた。
誰とも喋れない。喋りたくない。
暗闇が他人に感染しそうな気がして恐ろしいのだ。
それでも暗黒期に接触した数人には随分助けられた。
今思えば少々の事では惑わされない、器の大きい人々ばかりだった。
別に何をしてもらったわけでもない。
ただなんでもない話しをしただけだ。
それだけなのだけど、私は力強いエネルギーを受け取って、
なんとか次に動き出す原動力をもらっていたのかもしれない。
そしてそんな時期に彼らと会ったのは、私の無意識のSOSが届いていたののかもしれない。


猫も居る。
猫は怪我をして主に私の部屋に暮らしている。
私は猫の怪我を治していたつもりになっていたけど、
徐々に私の傷も治してたのかもしれない。


そんな風にいつの間にかたくさんのエネルギーが私の周りを取り巻いていて、
普段気がつかなかった、誰かの存在の有り難さに気がついた、数ヶ月だったように思う。


なぜだかいつも思っている人も居る。単なる執着なのかもしれない。
それだったら嫌だなと思うのだけど、
どうもそういう訳でもないかもしれないと思う。
ただ思い続けている人が居て、
そんな風に人生が進んでいくことがあるなんて思わなかった。


人生はうまくいかないようで、うまくできてる。
不思議な物語なのだとおもう。