音楽と信仰

七尾旅人氏が出演した佐野元春氏のソングライターズを観た。
音楽をやっている人間が音楽を信じ切る姿がそこにあった。
これから音楽をやる人間、今まで音楽をやってきた人間、
音楽に携わる全ての人間にエネルギーを注ぎ込むような内容だったように思う。
「音楽は大丈夫。音楽の世界はこれからますます素晴らしくなる。
政治がどんなに腐っても、音楽など全てのアート、つまり文化が元気であればその国は大丈夫。」
そんな風なことを語っていたと思う。
そこにある、一人の人間から発せられる確信と信念は、
まぎれもなく多くの人々(少なくとも音楽を信じる人間)に夢と希望を与えている。
未来に夢や希望を観づらい世の中で、
よくぞそこまで見通しがつけたものだと思う。
やはり七尾旅人という存在が一筋の希望なのだと思った。
たった一人の強い信念を持った夢想家の存在によって確実に空気は変わることを知る。


一人一人が夢想家になることで世の中は変わるのだ。


愛をバラまき、希望をバラまき、
この世が向上することを強く強く念じるということを思う。
クリエイティブするという事はきっとそういうことなのだろう。
迷い、悩み、苦しみ、恨み、憎しむ。
そういうこととは真逆のことだ。
(もちろんそういった事は人間である以上持ちうる感情であるから、
観るだけでそれを排出させるような優れた作品も世の中に絶対に必要なのだ。)


私は何かを言い切ったり、何かを貫き通せるほどの信念を創ってこの世を去れるだろうか。
どんな音楽を聴いても、どんな本を読んでも、どんな宗教や哲学に触れても、
その一瞬は悟りのような快楽は得るけれども、一度寝て起きたらやっぱり
わからないし、迷うし、苦しい、頭に靄がかかったようにして、
じたばたともがき続ける、みっともなくて暑苦しい自分がいる。
どうしてこうも馬鹿なんだろうか、と呆れる。
私が手に入れたい言葉は私が掴みとる他ないのだろう。


「そうじゃないんだ」
と、他人の生き方を批判してもしょうがない。
ただ私は得たいのである。
私なりの生きる上でのシステムであり、法則のようなものを。
そして「解ること」の快楽を。