鏡の世界

この頃、男性を攻撃する傾向にある。
どうしたことだろう。
普通にいい人たちに違いなく、
彼らは彼らなりの夢を持って、
この世界に生きている。
しかし私は彼らの夢を壊しにかかる。
弱い部分を見つけてそこをつついてしまう。
私の夢と違うという理由だけで、
そんなことをしてしまうなんて理不尽にもほどがある。
しかし中途半端にかっこつけていたり、
なにか物知り顔でそこに居られると、
イライラしてしまうのだ。
だから本当のこと(私にとっての本当であり彼らにとっては関係ないであろうこと)
をふっかけてしまう。
きっと私のことを嫌いになってしまうだろう。
むしろ「嫌いになってしまえ」と思っているかもしれない。
どうしようもない毒を抱えて生きているものだなぁ、と思う。
やはり年末に覆面の男に襲われたのは必然だった気がしてくる。
集合的観念があの男を無意識に突き動かしたのではないかと思ってしまうぐらいだ。
この世界はそのような謎であり神秘がいたるところでぽっかりと口をあけて待っている。


好きな人と一体化しようとするタイプの女性が居る。
好きになった人の影響を思い切り受けて、好きな人の隙間に入り込もうとするのだ。
そこに自分の居場所を確保して安心するような。
その人に「自分」というのはあまりない気がする。
相手が第一優先で自分は二の次。
とにかく相手を満足させることに一生懸命のようだ。
私はそのような姿を見ていて少々息苦しさを感じる。
ベターっとした感じで、自分の隙間がなくなってしまうような。
余裕が無くなるのだ。
しかし本来「好き」とはそういう事かも知れない、とも思う。
そういう他者に対する必死さのようなもの。
離れたくないから離れられなくする魔法や呪いのようなもの。
そういったことを無意識のうちにやってしまうのだ。
ひっくり返してみれば、己の寂しさや虚無を埋める為の作業。
「愛」と「欲望」と「孤独」が混同した世界。
というか、それは以前の私なのだ。
ようやく自分の世界を発掘して夢中になって暮らしている時、
その時が一番人間が輝くのだろう、どこからともなく、
巨大な力を持つ者が突然やってきて、私の精神の全てを奪った。
相手はあまりにも巨大だったために組み伏され大人しく従順にならざるを得なかった。
今思えば、妙なコミュニケーションである。
しかし今でもその人の前にいると組み伏されてしまう。
彼は王様のようだ。
私の前では好き放題自由にのびのび出来るようなそんな感じで、
私はまるで奴隷のようになってしまう。
今、ふと気がついたけれど、実は私はその時に知らない間にひどく傷ついていて、
無意識のうちに他の男達を傷つけてしまうのかもしれない。
復讐している。
他者とは不思議なものだ。
自分の一面をまざまざ見せつけられる。
他者がいるから自分を発見する。
他者とは合わせ鏡のようだ。