東京vs地方

毎週水曜日に配信される都築響一さんのメールマガジン
「ROADSIDER'S weekly」が楽しみで仕方がない。
毎回内容がめちゃくちゃ濃くてワクワクしている。
今回は「いちばん近くて遠い街 釜山逍遙 前編」と、
田原総一郎三上寛 ドキュメンタリーの原初的衝動」と、
「素晴らしくバカげたアイデア」という三つの記事。
釜山には巨済島捕虜収容所遺跡公園という、
国際秘宝館の戦争版のようなところがあるらしく、主にそこの紹介。
国際秘宝館は行きそびれているので、一度行ってみたいなーと思った。
釜山の街並も都築さんらしくとても魅力的に紹介されていた。
2番目の田原総一郎さんのネタは、
田原総一郎の遺言』という全7巻のDVDシリーズが発売されることになりそれの紹介。
そしてこれまたすごくおもしろそうで。
買うまではいかないけれど、一回観てみたい。
永山則夫三上寛」という回で、都築さんが解説を書いていて、
それを抜粋されていたのだけど、それが素晴らしすぎたので、こちらに勝手に転載。


 田原総一郎を「朝生の司会してるオッサン」としか、
 そして三上寛という偉大なアーティストの名前すら、
 もしかしたら知らない若い世代がこのDVDを観てくれるとしたら、
 僕が考えてほしいのは「高度成長期の日本を支えた若者たちの実像」でも
 「70年代のアングラ・クリエイティブ」でもない。
 政治経済とともに、「東京vs地方」という図式をつくりあげてきた当事者のマスメディア、
 それもテレビ局という主犯格が、「ドイナカの反乱」とでも呼びたい
 パワフルな問題提起のドキュメンタリーをきっちり制作し、放映していたという事実。
 そしてそれから40年経って、いまだに「東京vs地方」という図式にしがみつつ、
 こうしたパワフルなドキュメンタリーをほとんどまったくつくれなくなってしまった、
 現代のテレビ業界の惨状だ(当時より給料も、就活人気度も格段にアップしてるはずなのに)・・・。


そういうことかー、と。
ずっともやもやとしていた部分がよく見えたのだった。
テレビでも、ファッションでも、音楽でも、
「こっちの水は甘いよ〜、こっちにおいでよ〜」という、
方式で若者を吸い上げる都市の仕組みがとてもよく解ったのだ。
例えば、東京のアーティストを観に名古屋にライブに行く。
すると、東京ではもっとたくさんライブがある。
「東京の方が楽しそうだなー」と思うのは当然である。
若者は可能性とか、可能性とか、可能性とか、を、見つけに都会に行くものである。
大企業も仕事も都会にはたくさんある。
それにしても改めて考えてもなんだこの理不尽な図式!と、おもう。
都会なんかに誰が行ってやるものか!
という反骨精神さえ湧いてくる。
都会とは別の地方の魅力を探求しなくては確実に日本は衰退する。
きらびやかな都会の街並で、人々が快楽を貪っている間に、
東電OLは渋谷で立ちんぼして殺されて、オウムは霞ヶ関サリンを撒いて、
毎日人が電車に飛び込んで自殺している。
この現状を無視して、目を塞いで、自分の気持ちのいいところばかり、
いじくり回しながら生きているのが、都会のまともな人間である。
正直なところ吐き気がする。
地方がヒッピーや、大麻をやるためだけの巣窟にならない為に、
私だけでも意識をしっかり持って、正しく健全な思考を働かせて、
地方で力強く生きて行かなければいけないと、
つくづくそう思ったのだった。