黄金に光る草原

気が付くと「退屈だなぁ」という気分で。
退屈ということは、つまり平和だということ。
平和を楽しむ事が少しばかりヘタクソなだけ。

私が求めているのはいつか見たあの風景。
どこか懐かしさがあるあの空気。
そういうものに手を伸ばしながら生きてるのも悪くない。
こういう風に真っ白いところにやってくると、
埋めるのは、黄金に光る草原。
どこかで聴いたことのある懐かしいメロディであったり、
そういうことで、ぐんぐん、体いっぱいに満たすのは、
心にいいけれど、
直視しなくてはいけない現実がここかしこに転がっていて、
私たち人間はなんて哀しい生き物なのだろうかと思う。


人間に恋をしたところで、
人間は自分とは違う世界を保有している、
全く別の生き物だ。
少しばかり解りあえることもあるだろうが、
根本的に背負っているものが違うし、
考えていることも違う。
どうして他人を所有できよう。
それにしてもどうして人というのは他人を所有しようとしたり、
所有されようとするのだろう。
どうしていちいち傷つくのだろう。
裏切られたと感じるのだろう。
遠い遠い惑星に住んでいるようなものなのに、
「おーい」と声をかけて、交流する。
交流して、何を得るというのだろう。
どうして人はいつも寂しいのだろう。
どうして寂しさに耐えられないのだろう。
誰かに解ってもらおうとしたり、
解ったふりをしたりするのだろう。


全然違う世界を観ていたい。
全然違う世界を頭いっぱいに広げて、
たったひとりでワクワクしたりドキドキしたりしたい。
誰にも期待しないで、ほどほどの交流を保ち、
ほどほどに暮らしていたい。
高望みはしない。
生きていて、ひとりでふわーっとなればそれでいい。


そんな世界を壊してくる人間は全員敵だ。
私を奴隷みたいにする奴らはみんな敵だ。
いい人の顔をして近づいて来て、
私の自由を奪おうとする奴らはみんな嫌い。
誰のことも求めないから、
誰にも求められなくていい。
そういう覚悟の中に暮らしていれば、
きっと永遠に安心でしょう。