ただ見ている

ただひたすら見ている。
この世界を、この世で起きているなにかを。
見ているだけでわたしは何もしない。
私が関わるべきところはどこにもない。
深い深いところを漂い、
みんなの本当のところを探り、
私はじっと見つめている。


魂の奥の奥のほう。
世界はいくつもある。
私は見えてしまうから見たままに書く。
私が見た世界は全部書かないといけない。
そうすることが生きる事。
見た事をひたすら書く書く書く。
狙わない。欲望を混じらせない。
ひたすら、そのまま、書く。


世界は渦巻いている。
世界は人々の欲望のままに流れている。
その濁流に、流されそうになりがら、
私は岸に上がってそこから眺めている。
いつか終わるこの命のあいだ、
私はただこの世界を眺めているだけだろう。
そういう命の物語。