とけない魔法

世界の仕組みが少しわかった気がした。
「ははーん、なるほどね、そういうことね。」って、
独りでニンマリする。
わかると心が静まる。
わからないから心が暴れているんだと思った。
「わたしをもっと知って!」
って、見つけてもらいたがってる。
そういう時は、いつも誰かに呼ばれてるみたいで、
そわそわして、心が不安になる。


その人が嫌いなんじゃなくて、
その人の周りに浮かんでいる、
亡霊とか幽霊とか怨念みたいなやつが、
怖くて嫌いだったんだ、と思う。
私ははじかれてた。確かに。
思うことさえも許されてなかったのかもしれない。
今はほどよい距離感を見つけたから、
思っても息苦しくない。
そんな風にこの世の純粋な存在は守られているのかもしれないなー、
と思った。


みんな守られて生きている。
守られているから悪い風にならない。
でも、辛いことも起きる。
それは自然の摂理だから仕方がない。


魔法はとけてなかった。
ただ強烈なエネルギーとかそういうものに、
振り回されていただけだった。
ただ、じっと、心を鎮め、
真っ白な状態を保っていると、
世界はいつだって美しい。
私の中にたくさんの「既視感」が蓄積されていく。
その中で拾ったり、捨てたり、選別するのは、
いつだって私自身だ。
形を整えて心のアルバムに保存する。
どんなに恐ろしい思い出も、
ちょちょい、と手を加えたら、
私の世界の香辛料のようなものになる。
そんな風に暮らしていけたらいい。


「美しいものを見に行こう」


美しいものを見て、ただ美しいと感じよう。
そっと目を閉じて、奥の奥の方に、
記憶を留める魔法をかけよう。
そしたら遺伝子にも記憶されて、
みんなが見れるようになるかもしれない。
いつでもどこでも知りたい情報を、
自由に引っ張りだせる図書館みたいに大きな渦になろう。


人間の汚いのもちゃんとこぼさずに、
世界を余す事無く体験しよう。


人に「ワタシだ」と思ってもらえるように、
イメージを膨らまして、世界を書き写していこう。


今日は、そんな風に、能天気に、思ったり、できた。
つまり、いい日、だったということ。