子猫がみる夢

膝の上で2匹の子猫が戯れて、
寝つくまでの一部始終を2時間ぐらい観察した。
一匹は完全に安心し切って寝ている。
もう一匹は少し警戒していてなかなか寝ない。
それでも安心はしているらしく喉はずっとゴロゴロと鳴らしている。
やがてうとうとしだして、ついに眠りに入って、ゴロゴロという音も消えた瞬間、
2匹は一緒にどこか違う次元に移ったみたいだった。
顔や体をピクピクと動かしている。
目は少し開いている。
ゴロゴロという音がなくなって、
周りの空気の質感が微妙に変化したみたいに感じられる。
なにか神秘的な出来事が目の前で行われていて、
この世界の秘密の片鱗に触れているような気分になる。
「今この2匹は違う世界に居て、でも一緒に居る、確実に。」
というのがひしひしと感じられる。
どうして私はこの世界に居るんだろう、
そっちの世界に私も行きたい、
と思うのだけど、私は起きているし、
彼らの寝顔を見てるので、どうしてもそちら側には行けない。
少し猫の質量も軽くなったように感じられ、
不思議に思いながら、じっとピクピクとしている彼らを眺めていた。
やがて彼らは同時に目を覚ます。
ぼけーっとして、少し2度寝したりして、
各々であくびをして伸びをしている。
彼らは私にとても素晴らしいことを見せてくれた気がする。
「ほら、この世界はこんなにもたくさんの世界があって自由自在に行き来できるんだよ」
と、得意げな顔で私を見ている気がする。
ハリーポッター」や「指輪物語」や「ナルニア国物語
みたいなファンタジーの世界はやっぱり本当にあるんじゃないかと、
思ったりして、私はぐっと深まろうと思っている。
人間が見る夢の可能性について、
ぐにゃぐにゃと蠢くこの世界の不思議について、
強く思っている。