恋と宗教

ふとした瞬間に入ってきた音楽に、
ずるずるずるっと魂を丸ごと持っていかれたりするもので、
その瞬間に、くるくると色々な景色が見えて、
この世のひとつの回答が頭の中にストンと入ってきて、
「ああ、こんな風な気分で死んでいきたいな」
なんて思うことが、生きてるとたまにある。
ひとつの「魂のあがり」の状態だ。
布団に入っても、しばらく涙がとまらなくなったりして、
不思議なもんだ。


そんなとき、魂はぐっと裸になってほのかに光っている気がする。
自分から発せられる澄んだ空気が部屋中に充満して、
命がむきだしで、何も身にまとっておらず
魂の特別きれいなきれいなところそのものに、
体全体がなりきって、他に何もない、という無防備な状態。
そんなときは大抵ひとりである。
ひとりの時にしか、そんな状態にはならない。
人生、魂が裸の状況の時間をどれぐらい持てるか、
というもあるかもしれない。
もしも他人の前で自然とそんな風になれたら、
それはとても幸せなことに違いない。


人間はいつでも恋がしたいのだと思った。
本当の出会いが欲しくて、
新しい次元に導いてくれる誰かを心の奥底で待っていて、
私たちはこの世をふらふらと彷徨っている。
孤独感も適度に満たしてくれて、
誰かの特別な存在とされ、必要とされ、必要とし、愛し、愛される、
そういう関係を求めている。
しかしそういう出会いはいつ訪れるかわからない。
もしかしたら一生出会わずに人生を終える人もいるかもしれないし、
ある日突然出会ってしまい、
自分が何者かを完全に理解してしまう瞬間が訪れるかもしれない。
本当の出会いとは、
自分の正体を明らかにしてくれるものだと、私はおもう。
少しでも本当に近づいたという実感を得ることが出来れば、
男も女も関係なく、その出会いはとても特別で貴重な出会いである。

これからもみんなのそれぞれの世界は日々更新されつづけるだろう。
アップデートを繰り返し、
我々は風景をひたすら眺めている
ただひたすら目の前には風景があり、
どこからともなく記憶が蘇ってくる。
遠くから音楽が聴こえてくる。
その風景を音をどこまで忠実に、
言葉で再現させていけるか、
そのことに私はただ一生懸命になっていただけだったのだ。