シンクロ

エヴァンゲリオンの漫画を読んだ。
私が最初にエヴァを読んだのは、中学一年生の頃、
ちょうど主人公である碇シンジと同じくらいの歳の頃である。
三巻ぐらいを読んで、
私はその後を追っていない。
なぜ追おうとしなかったのか。
自分でもよくわからない。
15年くらいたって、最近では映画公開もあり、
世間で再び話題になっていたので、
やっと読もうという気になり漫画を手に取った。
私はミサトと同じぐらいの歳になっていた。


シンクロニシティ」が大きなテーマだとおもった。
機体とパイロットとのシンクロ率をはじめ、
母と子、父と母、恋人たち、
色々な共通事項によって物語は展開していく。
母体回帰という幻想を抱き、
対立や衝突もなく同じ意識の中を生きる。
それは理想のようであって、
実はとても危うい。
我々人間はひとりひとり違う意識を持っている。
しかし突き詰めていくとひとつになる。
そんな風に出来ている。
突き詰めた先に宗教があり、創造がある。
新世紀エヴァンゲリオン」という物語もそうだ。
様々な人々の中に「シンクロ」が起きている。
だからカルト的な人気があるのだ。
私はエヴァに触れた頃の時代を思い出していた。
阪神大震災オウム真理教
あのころ日本人の共通認識のなかに入り込んできた事象だ。
我々は共有する。
物語を、言葉を、世界を。
そして他者を知り自分を知る。
そこには美しさがある。
人間の奥底に潜む欲望が隠れている。
わたしたちはいつだって、誰かと深く関わり合い、解け合って、
「ひとつになりたい」
というどうしようもない欲望を抱えながら生きている。