うごめく力

人にはやらなきゃいけないことっていうものがある。
本当はそんなものはないと信じたいのだけど、
どう考えてもここで逃げてはいけないな、
というものがある。
それは人生の時期や波によって人それぞれである。
逃げてはいけないものだと判断した場合、
きちんと向き合わなくてはならない。
そうしたものにぶつかる時、
人は弱まる力というのがある。
一方で強まる力がある。


やっぱり全力で逃げた方がいいのかもしれない。
と思えるものもある。
近くに居たらどうしても傷付けてしまう。
私も相手もぼろぼろになる。
致命的な怪我をする前に距離を置いた方がいいものもある。
そのタイミングを見計らっている。
「いや、でもやっぱり」
と思いとどまる気持ちもあるが、
でも、いつか距離をおくだろう。
一緒にいるとどうしても苦しい距離感、
というのがある。
理由はそれなりに言葉にできるけれど、
どれも核心をついていない気がする。


逃げ出す準備をしている。
しかしこれも自然な流れである。
全てが自然な流れによって突き動かされて、
前を向いている。
その場その場の状況や、
すこし先の未来の流れを読んでいる。
自分の全ての選択を受け入れる。
他人の全ての選択を受け入れる。
私たちは待ったり、流れたり、受け入れたりしながら、
どこかに向っている。
全ての生き物を動かしながら、
確かにそこで蠢いているその気配に、
私は安心する。
何も心配することはない。
生きていても死んでいても、
私たちの心配におよぶ物事なんてものは、
結局のところ最初からひとつもなかったのだ。